相談事例
相談事例
作成日:2011/04/23
当社は全国各地に支店を有し、従業員も頻繁に転勤させています。しかし、今回山口勤務の社員に東京への転勤を命じたところ、家庭の事情で単身赴任になり、経済的に大変なので断りたいとの返事。どうしたら良いか?



転勤命令が有効となる要件として@就業規則に転勤について定めていること、A労働契約を結ぶ際に、勤務地を限定していないこと、B業務上の必要性があること、C不当な目的・動機がないこと、D転勤に伴う不利益が甘受すべき程度を超えないこと、の5つがります。相談のケースは、転勤を命じられた社員が単身赴任せざるを得ない家庭の事情があり、結果的に単身赴任による経済的負担が大きいという理由で、東京への転勤に難色を示しているという訳ですが、問題は要件Dの「不利益が甘受すべき程度を超えていないか」どうかにあります。多くの裁判例では、転勤に伴う多少の不利益は労働者が甘受すべきという考え方であり、会社の業務上の必要性をどちらかと言えば積極的に容認する傾向にあります。そこで御社としては、Dの不利益を補う「単身赴任手当」等が支給される扱いであれば、不利益を与えないための努力は行なっていると認められますので、難色を示す社員に対しては、就業規則の規定を再度よく説明し、会社の秩序を維持するためにも強い態度をもって臨んでも良いと考えます(解雇等の制裁)。
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