相談事例
相談事例
作成日:2016/05/24
従業員11名の印刷会社。当社は週休2日以外にお盆休み、年末年始と国民の祝日も休みで、実際はお盆休みや年末年始、国民の祝日が有休のようなものと考えています。週休2日以外の休みを有休扱いにできませんか。



【有給休暇のトラブルを防ぐ仕組み】
労働基準法第39条に定められた「年次有給休暇」についてのトラブル相談が、近頃特に増えています。
この有給休暇の問題、総務担当者にとっては頭の痛い問題です。ただ「労基法が認めた権利です」と従業員の一方的な主張に振り回されず、労使が互いに譲歩して、互いに納得できる「有給休暇付与」の仕組みづくりを改めて考えてみたいと思います。
1、年次有給休暇の計画的付与の導入
労基法第39条6項によれば、各人の有する有給休暇日数のうち5日を超える部分は、従業員の過半数代表者との労使協定により、事前に計画的に指定できる、と定められています。
そもそも事業業績の厳しい中小零細の企業にとっては、大手の企業とは異なって、人的余裕はありません。そこで「従業員の同意」を大前提に、次のような「通常の休暇を年休に交換する」手法を、一度検討してみてはいかがでしょうか。但し、この手法は、いわゆる脱法的な「ブラック」の手法に見られる心配がありますので、従業員が多少でも有利となるインセンティブの提供(例えば、新たな休暇を設けるとか、給与ベースを増額する等々)をセットにして提案する必要があります。
以下実務的な進め方につき、順次説明して参ります。
@法定を超える休暇の確認(夏季及び年末年始休暇、国民の祝日など)
労基法では法定の休日は週1回以上、また法定の労働時間は1日8時間且つ週40時間と定められています。即ち、年間で2,085時間、月173時間が法定労働時間です。よって、この法定休日・法定労働時間を守るには、週2日の休日が有れば良いということです。
さてここからが大事な手順になります。これまでお盆休みや年末年始のお休みは、法定休日日数を超える、ある意味従業員にとっては「恩恵的」なお休みだった訳ですが、今後はこの法定日数を超過する休暇を年休の一部と見なすことの同意を求めることになります。会社の業績を含めた現状説明を十分に行ない、また新たに提供する予定のインセンティブ(例えば、新たに『バースデー休暇(誕生日に付与)』や『リフレッシュ休暇(勤続年数により5日〜10日程度付与)』を設ける等)の説明と併せ、「年休の計画的付与」について個別に了解を求めます。これにより、これまで休暇として与えていたお休みは、今後は年休に含まれる法定休暇として位置付けられることになります。
繰り返しになりますが、従業員にとっては賃金の減額と同様に不利益となる変更ですから、できるだけ不利益の程度を緩和させるためにも新たな「インセンティブ」の提示と会社の財務状況を含めた現状の説明を率直且つ誠意をもって行なうことが重要になります。
A労使協定の作成
そして、上記@の従業員の同意が得られたら、次に労基法第39条6項に定める「労使協定」を作成します。以下、同「労使協定」に記載する具体的な文例をご紹介します。
(文例)1条 この協定によって計画的付与の対象となるのは、労働基準法第39条に基づき、
同法で定める年次有給休暇(以下「年休」という。)のうち、5日を超える部分で
15日を限度として計画的に付与するものとする。
2条 この協定に基づいて、年休の付与が行われるのは、次の各号の日から各社員の
希望を考慮し、付与日を決定するものとする。
(1)8月13日から8月15日(ただし、土曜日及び日曜日を除く)
(2)12月30日から翌年1月3日(ただし、土曜日及び日曜日を除く)
(3) 国民の祝日(ただし、土曜日を除く)
これまでは法定外休暇として与えられていたお盆休みや年末年始のお休み、そして国民の祝日を法定の有給休暇として「指定付与」する、という構成の労使協定になります。
要するに、この協定文例の内容が、今回提案いたします「休暇日数を増やさないで年休消化を可能にする年休の計画的付与制度」ということになります。
B就業規則の一部変更
最後に既定の就業規則の「休日・休暇」の規定を変更する必要があります。年休に変更する休暇は、規定から除外します(労使協定例(1)〜(3))。また法律で義務付けられた休日(法定休日)は、週1日、4週4日以上(労働基準法第35条)ですが、法定労働時間の制限がありますので、休日は週2日は必要となりますので、ご注意ください。
以上、多少変則的な「年休の計画的付与制度」の提案になりましたが、上記の「バースデー休暇」や「リフレッシュ休暇」を組み合わせて提案することで、今後は年休取得についての従業員の不満やトラブルの解消が図れるのではないでしょうか。
労働基準法第39条に定められた「年次有給休暇」についてのトラブル相談が、近頃特に増えています。
この有給休暇の問題、総務担当者にとっては頭の痛い問題です。ただ「労基法が認めた権利です」と従業員の一方的な主張に振り回されず、労使が互いに譲歩 して、互いに納得できる「有給休暇付与」の仕組みづくりを改めて考えてみたいと思います。
1、年次有給休暇の計画的付与の導入
労基法第39条6項によれば、各人の有する有給休暇日数のうち5日を超える部分は、従業員の過半数代表者との労使協定により、事前に計画的に指定できる、と定められています。
そもそも事業業績の厳しい中小零細の企業にとっては、大手の企業とは異なって、人的余裕はありません。そこで「従業員の同意」を大前提に、次のような「通常の休暇を年休に交換する」手法を、一度検討してみてはいかがでしょうか。但し、この手法は、いわゆる脱法的な「ブラック」の手法に見られる心配がありますので、従業員が多少でも有利となるインセンティブの提供(例えば、新たな休暇を設けるとか、給与ベースを増額する等々)をセットにして提案する必要があります。
以下実務的な進め方につき、順次説明して参ります。
@法定を超える休暇の確認(夏季及び年末年始休暇、国民の祝日など)
労基法では法定の休日は週1回以上、また法定の労働時間は1日8時間且つ週40時間と定められています。即ち、年間で2,085時間、月173時間が法定労働時間です。よって、この法定休日・法定労働時間を守るには、週2日の休日が有れば良いということです。
さてここからが大事な手順になります。これまでお盆休みや年末年始のお休みは、法定休日日数を超える、ある意味従業員にとっては「恩恵的」なお休みだった訳ですが、今後はこの法定日数を超過する休暇を年休の一部と見なすことの同意を求めることになります。会社の業績を含めた現状説明を十分に行ない、また新たに提供する予定のインセンティブ(例えば、新たに『バースデー休暇(誕生日に付与)』や『リフレッシュ休暇(勤続年数により5日〜10日程度付与)』を設ける等)の説明と併せ、「年休の計画的付与」について個別に了解を求めます。これにより、これまで休暇として与えていたお休みは、今後は年休に含まれる法定休暇として位置付けられることになります。
繰り返しになりますが、従業員にとっては賃金の減額と同様に不利益となる変更ですから、できるだけ不利益の程度を緩和させるためにも新たな「インセンティブ」の提示と会社の財務状況を含めた現状の説明を率直且つ誠意をもって行なうことが重要になります。
A労使協定の作成
そして、上記@の従業員の同意が得られたら、次に労基法第39条6項に定める「労使協定」を作成します。以下、同「労使協定」に記載する具体的な文例をご紹介します。
(文例)1条 この協定によって計画的付与の対象となるのは、労働基準法第39条に基づき、同法で定める年次有給休暇(以下「年休」という。)のうち、
             5日を超える部分で15日を限度として計画的に付与するものとする。
2条 この協定に基づいて、年休の付与が行われるのは、次の各号の日から各社員の希望を考慮し、付与日を決定するものとする。
             (1)8月13日から8月15日(ただし、土曜日及び日曜日を除く)
             (2)12月30日から翌年1月3日(ただし、土曜日及び日曜日を除く)
            (3)国民の祝日(ただし、土曜日を除く)
これまでは法定外休暇として与えられていたお盆休みや年末年始のお休み、そして国民の祝日を法定の有給休暇として「指定付与」する、という構成の労使協定になります。
要するに、この協定文例の内容が、今回提案いたします「休暇日数を増やさないで年休消化を可能にする年休の計画的付与制度」ということになります。
B就業規則の一部変更
最後に既定の就業規則の「休日・休暇」の規定を変更する必要があります。年休に変更する休暇は、規定から除外します(労使協定例(1)〜(3))。また法律で義務付けられた休日(法定休日)は、週1日、4週4日以上(労働基準法第35条)ですが、法定労働時間の制限がありますので、休日は週2日は必要となりますので、ご注意ください。
以上、多少変則的な「年休の計画的付与制度」の提案になりましたが、上記の「バースデー休暇」や「リフレッシュ休暇」を組み合わせて提案することで、今後は年休取得についての従業員の不満やトラブルの解消が図れるのではないでしょうか。
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