相談事例
相談事例
作成日:2015/10/15
店長が突然くも膜下出血で倒れた。半身麻痺の後遺症で、店長の家族は過重労働が原因と経営者に損害賠償を請求。店長には元々の高血圧症があり、お店もヒマだったので過重労働とは思えない。どうしたら良いか?



【使用者の安全配慮義務違反】脳疾患発症による原因が、長時間労働による過重負荷であることがはっきりしている場合、直ちに労災認定がなされ安衛法第65条の3「事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない」とする「安全配慮義務違反」を根拠として、使用者に対して慰謝料等の損害賠償請求が認められます(参考:最判平12・3・24 電通事件、平20・3・1施行 労働契約法第5条)。しかし、使用者が店長の脳疾患は長時間労働が主因ではない、過重労働はさせていない(安全配慮義務に違反していない)と主張するのであれば、実労働時間や労働密度に関する客観的な反証資料を提出する必要があります。
【労災認定の意義】通常の訴訟において「使用者の安全配慮義務違反」を立証するのは中々
容易ではありません。しかし、労働基準監督署で既に労災認定がなされたとなると、当該
訴訟では労働者には有利な展開となります。すなわち「業務上の災害」と認められた訳で
すから、安衛法や労働契約法の違反ということで、使用者の「安全配慮義務違反による使
用者の責任」が問われる可能性が高くなります。一般に労災保険給付の内容として理解
されているのは、@病院の治療費、A休業期間中の賃金補償、B障害補償(年金含む)く
らいでしょうが、これが民事の損害賠償請求となると、別に将来的な逸失利益(1年当り
の基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)と傷害慰
謝料(入通院慰謝料)と後遺障害慰謝料や弁護士費用等も認められることになり、使用者
は労災保険給付以外の多額な賠償の責めを負うことになるのです。よって、労災認定に多
少でも疑念があれば、使用者として「意見書」等で監督署に対して意見を陳述するべきで
しょう。
【元々の基礎疾患と労災認定】もともと本人がもっている動脈硬化等による血管病変等が
加齢、食生活、生活環境等の日常生活の諸々の要因により血管病変等が徐々に悪化したこ
とによる場合は、「業務外」と判定されることになる(厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認
定」より)とされています。労働者(店長)の病歴調査等は監督署の調査でも実施される
と思いますが、公平公正な認定がなされるよう、念のため監督署労災担当者には使用者か
ら情報提供しておくべきでしょう。
【手待ち時間と労働密度】今回の事例では正確な労働時間管理が行われていないので判断
は難しいのですが、日々の出勤と退勤時間から推測できる拘束時間は、確かに毎日10時
間を超える長時間勤務となっています。そこで当該「拘束時間」がどの程度「実労働時間」
と言えるのか、あるいは当該拘束時間中に行なわれた業務量(労働密度)の程度をそれぞ
れ検討する必要があります。判例によれば「営業時間中の客待ちの休み時間は、手待ち時
間であって休憩時間ではない(労働時間)」(すし処杉事件・大阪地判 昭56.3.24)とさ
れていますが、仮に1時間の間に10名のAランチを作る作業の負荷と1時間の間にわず
か2名のAランチを作る作業の負荷が同等と考える人は先ず居ないはずです。ゆえに同じ
1時間の労働時間であっても「労働密度」が異なれば、その過重負荷も当然異なることに
なります。よって厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定」の労災認定要件3『長期間の
過重業務』「発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に
就労したこと」で示された「労働時間評価の目安」に記載された労働時間をそのまま本件
に適用するのは不合理と考えます。
よって本件に対する使用者の対応としては、先ず労災認定の監督署調査には当然協力する
義務がありますが、上記のように実際の労働時間や労働密度を証明する客観的資料や意見
書等を積極的に提出し、監督署の正確、公正な判定が行なわれるよう協力して行くことが
大事になります。
【使用者の安全配慮義務違反】脳疾患発症による原因が、長時間労働による過重負荷であることがはっきりしている場合、直ちに労災認定がなされ安衛法第65条の3「事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない」とする「安全配慮義務違反」を根拠として、使用者に対して慰謝料等の損害賠償請求が認められます(参考:最判平12・3・24 電通事件、平20・3・1施行 労働契約法第5条)。しかし、使用者が店長の脳疾患は長時間労働が主因ではない、過重労働はさせていない(安全配慮義務に違反していない)と主張するのであれば、実労働時間や労働密度に関する客観的な反証資料を提出する必要があります。

【労災認定の意義】通常の訴訟において「使用者の安全配慮義務違反」を立証するのは中々容易ではありません。しかし、労働基準監督署で既に労災認定がなされたとなると、当該訴訟では労働者には有利な展開となります。すなわち「業務上の災害」と認められた訳ですから、安衛法や労働契約法の違反ということで、使用者の「安全配慮義務違反による使用者の責任」が問われる可能性が高くなります。一般に労災保険給付の内容として理解されているのは、@病院の治療費、A休業期間中の賃金補償、B障害補償(年金含む)くらいでしょうが、これが民事の損害賠償請求となると、別に将来的な逸失利益(1年当りの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数)と傷害慰謝料(入通院慰謝料)と後遺障害慰謝料や弁護士費用等も認められることになり、使用者は労災保険給付以外の多額な賠償の責めを負うことになるのです。よって、労災認定に多少でも疑念があれば、使用者として「意見書」等で監督署に対して意見を陳述するべきでしょう。

【元々の基礎疾患と労災認定】もともと本人がもっている動脈硬化等による血管病変等が加齢、食生活、生活環境等の日常生活の諸々の要因により血管病変等が徐々に悪化したことによる場合は、「業務外」と判定されることになる(厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定」より)とされています。労働者(店長)の病歴調査等は監督署の調査でも実施されると思いますが、公平公正な認定がなされるよう、念のため監督署労災担当者には使用者から情報提供しておくべきでしょう。

【手待ち時間と労働密度】今回の事例では正確な労働時間管理が行われていないので判断は難しいのですが、日々の出勤と退勤時間から推測できる拘束時間は、確かに毎日10時間を超える長時間勤務となっています。そこで当該「拘束時間」がどの程度「実労働時間」と言えるのか、あるいは当該拘束時間中に行なわれた業務量(労働密度)の程度をそれぞれ検討する必要があります。判例によれば「営業時間中の客待ちの休み時間は、手待ち時間であって休憩時間ではない(労働時間)」(すし処杉事件・大阪地判 昭56.3.24)とされていますが、仮に1時間の間に10名のAランチを作る作業の負荷と1時間の間にわずか2名のAランチを作る作業の負荷が同等と考える人は先ず居ないはずです。ゆえに同じ1時間の労働時間であっても「労働密度」が異なれば、その過重負荷も当然異なることになります。よって厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定」の労災認定要件3『長期間の過重業務』「発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと」で示された「労働時間評価の目安」に記載された労働時間をそのまま本件に適用するのは不合理と考えます。

よって本件に対する使用者の対応としては、先ず労災認定の監督署調査には当然協力する義務がありますが、上記のように実際の労働時間や労働密度を証明する客観的資料や意見書等を積極的に提出し、監督署の正確、公正な判定が行なわれるよう協力して行くことが大事になります。
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