相談事例
相談事例
作成日:2012/09/08
当社は従業員の残業代を定額の職務手当として毎月3万円〜6万円の幅で支払っています。勿論時間外が多くなった月は不足分を追加で支払っていますが、残業が少ない月も定額を払うのは払い過ぎと思う。改善方法は?



毎月定額で残業代を支払っている場合、それが払い過ぎの場合、それを翌月分以降に繰り越せる、という裁判例があります(SFコーポレーション事件・東京地裁平21.3.27判決)。

要するに「定額残業代の未消化部分を翌月以降に繰越す制度」を利用する方法です。但し、これが適法と言えるためには、@給与規程の定め(例えば、「1、職務手当は毎月の時間外手当の内払いとして支給する。2、給与規程第○条に基づく割増賃金の計算額と前項の職務手当の金額に差額が生じた場合、不足分はこれを支給し、過払い分はこれを翌月以降の前払いとして繰り越すことができる」等)、A労働条件通知書(労働契約書等)に「毎月職務手当として毎月5万円(但しこれは時間外手当の内払いとして)支給、B給与明細書に「職務手当(固定残業代)」と記載する。

上記@〜Bが完備していれば、「繰越分は賃金の前払い」となるため労基法の「全額払いの原則」や「一定期日払いの原則」に違反しません。

但し、従業員とのトラブルにならないよう制度の説明と同意、また繰越す場合のその金額が従業員に分かるような仕組み(給与明細に記載する等)を作っておいた方が良いでしょう。

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